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産業向けDataOpsの活用事例

目次

ここまでは産業向けDataOpsの理論と基本原則を見てきました。続いては、組織がインダストリアルバリューチェーンにおいて具体的な改善を達成するために、このような理論と原則を現実世界でどのように実行に移しているのかを見ていきましょう。この章では、石油・ガス、電力・ユーティリティ、製造といった現場での事例をご紹介します。

望ましい成果をもたらすために必要な機械とサプライチェーンが複雑であるため、一般的なインダストリアルバリューチェーンは「システムオブシステムズ」と呼ばれる問題のカテゴリーに分類されます。このカテゴリーでは、全体的な課題が、個々のプロセスおよびタスクの複雑さと、それらの相互依存性の両方による影響を受けます。

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こうした課題をうまく克服するには、非常にニッチなソフトウェア(個々の石油・ガスポンプの制御システムなど)と企業全体のプロセスを調整・管理するハイレベルなソフトウェア(エンタープライズアセットマネジメントシステムなど)の組み合わせが必要です。

一例として、個々のポンプに最適なメンテナンスを予測するモデルの開発があります。ここでは、サプライチェーン、リソース、リスクの相互依存性を考慮し、ポンプの出力によって、エンタープライズアセットマネジメントシステム(EAM)内で関連するタスクの自動作成がトリガーされます。産業にはこうした潜在的な改善点がたくさんあり、関連するコンテキスト化されたデータをリアルタイムのオペレーションとリンクさせることで改善できます。

テクノロジー、データ、自動化プロセスのこのような融合を全体として捉えることが、インダストリー4.0(第4次産業革命)のコンセプトの中心です。 こうした改善を大規模に処理するために必要なインフラストラクチャの中心にあるのが、産業向けDataOpsです。

さまざまなアプリケーションに対してデータドリブンの改善の開発、スケーリング、管理を確実に行うには、効果的な産業向けDataOpsが絶対に必要です。

産業向けDataOpsの機会

最初に、機会がどこにあるのかを簡単にご説明します。産業の核となる推進要因は生産です。つまり、石油・ガスの採取と処理、発電と送電、商品の製造などが考えられます。

スループットの最適化は、生産量と生産品質(生産物が原材料ではないとき)の両方の観点から非常に重要です。スループットの最適化にはアセットと装置が必須であるため、必然的に、これらのアセットのメンテナンスがスループット向上とコスト削減の重要な手段の1つとなります。したがって、メンテナンスプログラムの主要な目標は、アセットライフサイクルの観点での稼働時間の最大化とコストの最小化です。生産の最適化とメンテナンスはどちらも、産業向けDataOpsのアプローチを用いてデータドリブンの改善を行うのに適した主要な領域です。

現場作業員の効率的な管理は、産業向けDataOpsを用いた改善の機会のもう1つの主要な領域です。多くの場合、現場の実務者は装置のメンテナンスとアセットのメンテナンスを区別しており、ここでは、別々の専門家が適切な優先順位付けとリスクアセスメントを保証し、この2つの計画の立案を行っています。

目標は変わらず、最小の生涯コストで生産への悪影響を最小限に抑えることです。このプロセスを最も端的に表しているのは、装置のオイル交換か、手すりの防食処理かに関係なく、何らかのタスクが現場の担当者によって実行されるということです。

生産の最適化、メンテナンス、現場作業員の効率と同様に、サプライチェーンも産業向けDataOpsが変革をもたらす領域に含まれます。弊社は、(特定の産業における)投資計画の立案と実行に加え、地下の石油・ガスに対する探査、掘削および坑井建設、貯留層の領域を追加できます。

産業向けDataOpsが約束するのは、データドリブンによる改善を展開するペースの向上です。これには、全アセットにわたる個々の改善のスケーリングが含まれます(対象のアセットが装置を表しているか、より大規模な設備を表しているかは関係ありません)。それでは、データ対応のユースケースと、そのユースケースのサポートに必要なデータオペレーションについて、実際の例を詳しく見ていきましょう。

重要なアセットの長寿命化とサービス時間の削減

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課題

Aarbakke社は多くの製造業と同様に、重要でありながら低性能の装置(特に、コンピューター数値制御(CNC)マシン)によって引き起こされるパフォーマンスの課題に直面していました。石油・ガス産業のサプライヤーであるAarbakke社は、短納期に加え、厳格な品質要件を満たす必要がありました。

以前は、サービスマネージャーが重大な問題を把握するには、メールまたはメモによるオペレーターの記録に頼っていました。このとき、サービスマネージャーは各マシンの場所まで物理的に移動し、アラームが発生していないかローカルログを手動で確認していました。この従来の作業プロセスでは応答時間に制限があり、その結果としてスループットが低下し、低品質イベントが発生していました。

Aarbakke社は、重要な装置を理解し、アクティブなマシンアラーム、履歴アラーム、ほぼリアルタイムのセンサーデータに対応する現場全体の可視性を提供するために、新しい作業慣行が必要でした。この企業のチームは、産業向けDataOpsを使用して可視性を高めることで、適切な作業の優先順位付け、効率的な作業プロセスの採用、低品質イベントの繰り返しを防止するための知識の獲得が可能であることを知りました。

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ソリューション

Aarbakke社の選択した産業向けDataOpsソリューションは、メーカーのソースシステムからのデータを統合するために使用されました。これにより、すべてのユーザーがアクセス可能な統合データモデル内にすべてのデータがコンテキスト化されました。データソースには、プロセス(時系列)データとイベントデータ(装置アラームとメンテナンスアクティビティ)の両方が含まれています。

必要なデータすべてを実装した統合データモデルを使用することで、Aarbakke社による重要装置の管理をさらに効率化するアプリケーションの迅速な開発が可能になりました。配布されたアプリケーションを使用することで、アラームとイベントをアセット別に分類した、現場全体にわたるすべてのCNCマシンのコンテキスト化されたビューが提供されました。サービスエンジニアは、ペルソナベースのフィルターを使用して、ターゲットを絞ったメンテナンス作業を実施できるようになりました。

効果

  • マシンの長寿命化によってサービスコストが20~30%減少するとともに、故障の件数および全体的な停止時間も減少しました。
  • 組織の可視性により、課題への対応がさらに迅速になりました。
  • 品質が改善し、スループットが向上しました。
  • 突発的な故障の前に介入するアセットの優先順位付けが可能になりました。
  • 現場でのメンテナンス作業者に対するサポートが向上しました。

現場でのメンテナンス作業者に対するサポート

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課題

製造業の大規模なデジタル化には、関連するすべてのデータにユーザーが現場でアクセスできる必要があります。25 しかし、多くの製造企業においては、データは複雑でサイロ化されたシステム内に閉じ込められており、装置の診断、修理、点検時にメンテナンス作業者が必要な情報に容易にアクセスすることができません。データがサイロ化されていると、毎日の活動でのメンテナンス作業者の作業プロセスが非効率になり、必要な情報を見つけるのに複数のシステムへのアクセスが必要になることも珍しくありません。

ソリューション

2日と経たずに、産業向けDataOpsの適切なソリューションによって横河電機のソースシステムのデータ(プロセス変数、装置情報、履歴イベント、取扱説明書など)が民主化およびコンテキスト化されました。所要時間が短くてすんだのは、コンテキスト化サービスを使用して、工場のアセットのプロセス変数、装置、イベントの間に自動的に関係が構築されたためです。

こうしてコンテキスト化されたデータは、デジタルワーカーのニーズを満たすよう設計された現場のアプリケーションに接続可能となります。タブレットおよびモバイルデバイスからアクセス可能であるため、メンテナンス作業者は、リアルタイムのプロセスデータ、ヒストリカルデータ、ドキュメント、CMMS作業指示書、および写真を現場で利用できるようになりました。これで、すべての装置に付属するタグをスキャンしてすべての関連情報を確認するだけで、アセットを特定できるようになります。

このデータにすぐにアクセスできるため、メンテナンス作業者の効率が飛躍的に向上するとともに、日常のタスクの実行に必要な情報が利用可能になりました。さらに、オペレーショナルデジタルツインが作成され、民主化、コンテキスト化されたデータと3Dモデルが融合しました。このデジタルツインは、甲府工場の400枚の写真を撮影した後、1時間以内に構築されました。コンテキスト化されたリアルタイムのプロセスとヒストリカルデータが3Dモデル内でオーバーレイされるので、ユーザーは強力な視覚化ツールを使用して工場を探索できるようになりました。メンテナンス作業者はこれらの3Dモデルを使用して、1台の装置がプロセス全体にどのように適合するのかについて理解を深め、同じ領域で作成された他の作業指示書を(すべてモバイルデバイスから)確認できます。

効果

  • メンテナンス作業者は、現場で作業を実施するときに必要な関連情報すべてにアクセスできます。すべてのプロセスおよびアセットデータへのモバイルアクセスが可能になるため、エラーをすばやく診断し、メンテナンス作業をさらに効率的に実施できます。その結果、作業者の生産性が30~55%上昇します。
  • 3Dモデルとコンテキスト化されたデータの融合により、さらに効率的なプロセスで装置を特定し、現場で実施すべき作業の計画を立てることができるので、現場作業員の時間が節約されます。その結果、オフサイトの計画とサポートが向上します。
  • ソリューション提供までの時間が1週間もかからないため、数週間の実装期間内で価値がもたらされます。

データドリブンのスラッグ予測で生産を増強

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課題

「スラギング」は石油・ガス産業で一般に見られる生産上の課題です。スラギングとは、パイプライン内の三相流(ガス、石油、水)の分離であり、1つまたは複数の相の蓄積により流れがブロックされます。スラギングに影響する要因は一時的な状態(油井の開口、再ルーティングなど)か定常状態のいずれかになります。したがって、シミュレーターとリアルタイムの生産データを組み合わせてスラギングを監視し、防止する必要があります。

ソリューション

Aker BP社の産業向けDataOpsソリューションにより、数千ものライブおよび履歴の時系列データに対するアクセスが可能となります。これらのデータをパターン認識および統計のために継続的に分析したり、運用上の意思決定のために必要なデータ品質を確保したりできます。ライブ生産データがデータ対応のサードパーティアプリケーションと統合され、スラッグの予測に必要となる複雑なシミュレーションとモデルを利用できるようになりました。

自己学習アルゴリズムを使用するハイブリッドモデルに、ライブの運用・制御データが送り込まれました。このアルゴリズムは現場の行動の識別と予測モデルの生成が可能であり、スラギングシナリオの特定に使用されます。Aker BP社はスラギングの事象および関連する生産損失を回避するために、リアルタイムの実行可能な洞察を生産エンジニアに提供する最適化モデルを開発することができました。

効果

  • 生産量が1%増加しました。
  • スラッグの処理と予測の機能が大幅に改善されました。
  • 生産エンジニアがリアルタイムの実行可能な洞察を獲得しました。
  • 使いやすい意思決定サポートと、差し迫ったスラギングを早期に警告してくれるアルゴリズムがオペレーターに提供されました。

送配電網事業者で損失の大きい変圧器故障を防止

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課題

送配電網において、変圧器は最も高価で重要なコンポーネントです。重量が200トンを超えるものも多い、こうした巨大なデバイスは送配電網内の重要な部分に配置されており、交流回路間に電気を送り、必要に応じて電圧を増減させます。

送配電網事業者では、変圧器の故障が発生することがあります。こうした事象は、一般家庭での停電および電力会社での生産損失の原因となり得ます。最悪のケースでは、変圧器の誤作動によって出火や爆発が起こる可能性があります。修理にも交換にも、高額な費用と時間がかかります。

数百台の変圧器を保有する、ある大手の送配電網事業者は、年に約1回の故障を経験していました。この送配電網事業者は変圧器の定期メンテナンスを実施しており、停電時にすばやく電力を復旧できるよう交換部品にも投資していました。

この事業者は、両方のプロセスの改善に興味を示していました。データは組織が変圧器故障の初期の兆候を発見する際にどのように役立ち、交換部品に対する支出をどのように最適化できたのでしょうか。

ソリューション

この送配電網事業者は産業向けDataOpsのプロバイダーと連携して、そのプロバイダーのソースシステムからの変圧器に関する情報(温度、負荷、溶存ガスの分析、技術仕様、検査記録など)を民主化し、それをデータ統合プラットフォームに取り込みました。

変圧器に関連するすべてのデータに1か所でアクセスできるため、開発チームは送配電網のすべての変圧器に対する健全性指標を計算することができました。この健全性指標がダッシュボード内で視覚化されたことにより、送配電網事業者のエンジニアは全変圧器を一目でチェックし、どのコンポーネントを優先的にメンテナンスすべきかを判断できるようになりました。

効果

  • 20~50%の故障低減により、年間200万ドルの節約を達成しました。
  • 健全性指標は、変圧器のメンテナンス作業を計画する方法に関して送配電網事業者がデータドリブンの意思決定を行う際に役立ちます。
  • 変圧器1台の故障によって送配電網事業者に生じるコストは、最低でも500万ドルです。この送配電網事業者は、今後5年間で故障率を20~50%減らすという目標を設定しました。これにより、短期的に年間約200万ドルが節約されます。

データドリブンのメンテナンスとパフォーマンスベースのサービス提供を実現

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課題

業界トップレベルの掘削技術とサービスを提供するMHWirth社は、世界中の石油掘削施設にあるすべての掘削装置の監視とメンテナンスを行うために、戦略上重要な顧客との新しいパフォーマンスベースのメンテナンス契約を取り付けました。28 契約上の義務を果たし、顧客収益性を維持するために、MHWirth社はメンテナンスの意思決定にデータをどのように使用するのかを再考する必要がありました。状態監視と予測メンテナンスのアプローチを取る必要がありましたが、これが難題の始まりでした。世界中のアセットを効率的に調査し、異常を検出するために、ITアーキテクチャをどのように設定できたのでしょうか。実行可能な意思決定を行うには、必要なデータガバナンスと品質を確保することも非常に重要でした。それによって顧客との関係が確立されることもあれば、損なわれることもあるからです。

ソリューション

MHWirth社は装置のライブデータを取得・整理するために、産業向けDataOpsソリューションを実装しました。必要なデータのライブエクストラクターを設定し、基盤となるデータオペレーションの基礎部分としてアセットテンプレートと補助のデータモデルを作成しました。

システム内のすべての関連データがあれば、MHWirth社は自由に選択した視覚化と分析のツールを使用して、掘削装置の現在の状態のデジタルイメージを作成できます。このツールを使用することで、MHWirth社はデータに関する予測分析を実施して適切なメンテナンスプログラムを計画できるようになりました。リアルタイムデータのストリームがモデルに直接入力され、その結果を他の視覚化ツール、アプリケーション、機械学習モデルで利用できるようになりました。

現在、MHWirth社のダッシュボードでは、ヒストリカルデータとリアルタイムデータの両方を使用して装置の実際の状態に関する情報を専門家に提供しています。これが、掘削装置の最大稼働時間を確保し、適切なメンテナンスと収益性の高いメンテナンス契約とのバランスを取るための前提条件です。

効果

  • すべての産業データを1か所にまとめ、アセット階層に自動的に関連付けることによって、MHWirth社は自社産業の現状に対する理解を深め、さらに充実した制御を獲得しました。
  • MHWirth社のシステムのデータを分析している専門家は、どの装置にサービスが必要であるかを迅速に見極め、行動に優先順位を付け、最適なメンテナンスに関して助言をすることができます。
  • 今やこの会社は、真に洞察に満ちたメンテナンスプログラムを開発する機会を得ており、メンテナンスコストを抑制し、装置寿命を延ばし、装置の信頼性を高め、突発的なメンテナンスと停止時間を最小限に抑えています。
  • 現在MHWirth社は、掘削会社に提供するサービスに関して継続的なイノベーションを行っており、新たに状態監視保全サービスを追加しています。

視覚化ソフトウェアからの運用効果の拡大

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課題

Power BI、Tableau、TIBCO Spotfireなどの視覚化ソフトウェアは、データドリブン化を進めているすべての企業にとっては一般的なものです。29 しかし、データがなければ視覚化ソフトウェアは何の役にも立ちません。データが見つからなければ洞察は生まれず、データに信頼性がなければ洞察は利用できません。こうした問題は、多様なデータ領域、データストア、データ所有者を持つ大規模組織ではよく知られています。

ITを利用してデータをプロビジョニングすることは、それ自体は面倒ですが、よくあるように、ユーザーはどのようなデータが存在するのか全体像を描くことさえできません。データを発見し、Power BIで視覚化し、洞察を生み出すために使用する場合、運用上の意思決定にデータを活用するための十分な信頼を築く上で、データ品質を常に保証する必要があります。視覚化ソフトウェアの運用上の効果を高めるには、こうした課題をすべて克服する必要があります。

ソリューション

適切な産業向けDataOpsソリューションを使用して、ビジネスユーザーは利用可能なすべてのデータを容易に参照し、選択した視覚化ソフトウェアにプロビジョニングしています。データ管理およびデータ品質のツールを使用することで、ユーザーはデータリネージと品質監視を容易に設定できます。これにより、視覚化がいつでも利用可能となり、運用上の意思決定を行う絶好のチャンスが訪れます。

このソリューションを利用してデータがプロビジョニングされるため、ユーザーはデータが存在する運用システムおよびITシステムから独立して、視覚化を構築しています。ADプロバイダーとの連携により、視覚化へのデータアクセスの共有または制限が容易になります。企業はさらにデータドリブンになることができます。ITアーキテクチャ側での複雑なインフラストラクチャプロジェクト、およびユーザー側での長期に及ぶ高価な研修プログラムは必要ありません。

効果

  • 組織は、複雑で大規模なデータセットの視覚化にアクセスできます。
  • 必要なすべての組織内ユーザーが、シンプルなブラウザービューで大規模なデータの視覚化を利用できるようになります。
  • イノベーションを強化するために、ユーザーはユースケースへの即時アクセスを利用できます。