Cogniteは、12月16日に日本国内でのユーザー会「Cogniteユーザー会 in Winter@東京ステーションホテル」を開催しました。今回のユーザー会では、出光興産 生産技術センターの秋山 成樹さんと久保 華子さんに司会進行を頂き、丸善石油化学様およびJNC様にはCognite Data Fusion(CDF)の活用事例を、出光興産様と電源開発様にはCognite Atlas AI™︎に特化した活用事例をご紹介いただきました。
最初のCDF活用事例紹介セッションでは、丸善石油化学 千葉工場 設備管理部の堀越 太輔さん、小林 健俊さんにご登壇いただきました。 プラントの安全安心運転とトラブルゼロの実現をミッションに掲げる同社では、CDFのユースケースの創出と社内普及活動に精力的に取り組んでいます。
導入後の社内評価では、CDFが日常業務の様々なワークフローで活用され、業務時間の削減効果が確認でき、具体的な活用例として、保全計画策定の効率化や、トラブル対応における早期発見にCDFが大きく貢献していると評価されました。 さらに、ノーコードのサードパーティツールやCogniteに同梱されているStreamlitを活用し、現場のニーズに応えるカスタムアプリケーションを次々と作成。これにより、データ活用と業務効率が飛躍的に促進されている様子をお話し頂きました。

続いてのCDF活用事例紹介セッションでは、JNC DX推進室の松浦 太紀さん、水俣製造所 生産技術部の松崎 元寿さんにご登壇いただきました。 JNC様では、2025年のCDF導入からわずか半年という短期間で、ユースケースの創出と活用を強力に推進されてきました。
JNC様では、生成AIを活用しながらカスタムアプリを開発して現場のニーズを形にするアプローチをとっており、 具体的な事例としてExcelからCDFデータを扱うための関数実装、バッチ実績の推移を分析するダッシュボード、水力発電の運転状況リアルタイム可視化、原価分析効率化ダッシュボードなどをご紹介頂きました。 CDFにデータが連携され、整備されたデータに簡単にアクセスできることがデータ活用のスタートラインであることや、CDFと生成AIを最大限に活用することで、アイデアを迅速に形にして自動化・最適化をスピーディーに実現する先進的な取り組みを披露いただきました。

3つ目のセッションでは、出光興産 生産技術センターの佐藤 俊太朗さんにご登壇いただき、同社で進められているAtlas AIプロジェクトについてお話しいただきました。出光興産様は、2025年7月にAtlas AIのプロジェクトをスタートさせてから、半年という短期間で実務に即した多様なAIエージェントを次々と構築されました。セッションでは、産業データの高度な検索を実現する応用的なAIエージェントとして、以下の2つのエージェントが紹介されました。
- 「九十九(つくも)」:膨大なドキュメントや情報を最大限に活用し、必要な知見を即座に引き出すことを目的としたエージェント
- 「件(くだん)」:プラントの腐食や損傷を予測し、未然にトラブルを防ぐための高度な分析を担うエージェント
古来より「道具に魂が宿る」とされる妖怪である九十九神(つくもがみ)や、予言をするとされる妖怪である件(くだん)の名を冠したこれらのエージェントは、最先端技術でありながら現場の課題に寄り添う親しみやすさを感じさせます。これらのAIエージェントの構築を担っているのが、今回ご登壇された佐藤さんです。佐藤さんはご自身の経験を踏まえ、単にツールを導入するだけでなく、「AIを自在に扱える人材の育成と確保」がDX推進において重要である点についても言及しました。

4つ目のAtlas AI活用紹介セッションでは、電源開発 火力エネルギー部の淵 隆志さん、守山 智洋さんにご登壇いただきました。電力業界でのCDF活用事例をお話いただくのはCogniteユーザー会では初めてとなります。
電源開発様では、火力発電を行う竹原の現場において四足歩行ロボット、CDF、Atlas AIの活用による運転保守の高度化に取り組んでおり、人工知能(AI)とロボティクスを融合させた技術である「フィジカルAI」の実現を目指されています。現場の点検作業を行うロボットを導入し、CDF上のデジタルツインと点検データを紐付けることで、オペレーションを段階的に手動から自動へと移行し、脱属人化を推進されています。当日のセッションでは、現場オペレーターの業務を支援するAIエージェントのライブデモも披露されました。

イベント最後のセッションでは、Cognite本社のプロダクト開発メンバーが来日し、最新の製品アップデートが紹介されました。

また、セッションの締めくくりとして表彰式を実施しました。Cogniteでは、世界中のユーザーの皆さまが参加できるコミュニティプラットフォームを運営しており、知見の共有や製品アイデアの投稿、ユーザー同士の交流を促進しています。このコミュニティに特に大きく貢献された方々を表彰するため、今年はCognite Most Valuable Professional(Cognite MVP)がグローバルで7名選出され、日本からは日本触媒の高瀬 駿さんが選ばれました。
様々な運用タスクを自走してきた中で得られた知見・他のお客様に有益な情報を共有頂いたことや、CDF管理者として社内ユーザーから挙がってくる要望を取りまとめ、同様の要望をお持ちの世界のお客様からの声を収集することに貢献頂いたことに感謝を込めて表彰させて頂きました。





懇親会は、参加者皆様の笑顔が絶えない活気ある集いとなりました。
引き続き、ユーザー企業同士の情報交換の場として、Cogniteユーザー会を定期的に開催していく予定です。 お忙しい中ユーザー会にご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

